トランスなどの製品の製造開発で知られる田淵電機は、これまでの技術を応用して、太陽光発電のためのパワコンの分野にも取り組んでいます。特に、エネテラスと呼ばれている一連のシリーズ製品の性能や実力には定評があるところです。このエネテラスシリーズのパワコンの特徴として、これまでの他社製品にみられる一括入力方式ではなく、複数入力方式と呼ばれる特別なくみを採用しているところが挙げられます。この田淵電機の独自のしくみですが、太陽電池モジュールからの入力をストリングごとに分けることが可能になっているため、一括入力方式に比べて、接続が複雑にならず、しかもエネルギーロスがたいへん少ないというメリットがあります。
このようなメリットが顕著にあらわれるのは、降雪地帯での太陽光発電の導入においてです。一般にはイメージしにくいですが、降雪地帯でも一定の太陽光が見込まれる場合には、太陽光発電はいくらでも可能です。降雪があった場合には、太陽電池モジュールの表面から次第に雪が溶けるため、表面の雪がなくなればふたたび発電が回復します。その際、一括入力方式をとるパワコンでは、すべての太陽電池モジュールに積もった雪が溶けなければ、なかなか発電量がもとのようには回復せず、大きなエネルギーロスが生じます。
いっぽう、複数入力方式を採用した田淵電機のパワコンの場合、雪がすべて溶けるのを待たずに、先に雪が溶けた太陽電池モジュールから発電量が回復しますので、エネルギーロスが少なくて済みます。